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未破裂脳動脈瘤がある場合の予防法

未破裂脳動脈瘤がある場合の予防法

未破裂脳動脈瘤が見つかったら、どうすればいいの?

脳ドックでまだ破綻していない「未破裂脳動脈瘤」が見つかったときは、かなりのショックでしょう。しかしながら、まだ何も起こってはいません。行うべき処置や、経過観察といわれたとき何をすべきかを事前に知っておけば不必要に、また大げさに怖がる必要はありません。 未破裂動脈瘤と診断されても、破裂せずに日常生活を変わらず送れる方も多くいらっしゃいます。正しい知識を身につけて、上手に未破裂動脈瘤と付き合っていきましょう。

未破裂脳動脈瘤の基礎知識

未破裂脳動脈瘤とはどんなもの?

未破裂動脈瘤とは、脳の動脈内に出血や破裂の兆候が見られない瘤がある状態を指します。脳ドックなどを受けた際に、頭部MRIで発見されることが多い未破裂動脈瘤。日本人の5人に1人が持っているとも言われ、実は決して珍しい病気ではありません。

未破裂脳動脈瘤は遺伝する?

身内に脳血管障害を発症した方がいる場合、もしかしたら遺伝で未破裂脳動脈瘤ができたのかもしれないと思うこともあるでしょう。動脈瘤自体が遺伝するかどうかというはっきりとした根拠や研究は、今の所ありません。ただ、脳動脈瘤患者の方がいる場合、脳動脈瘤の発症リスクが高くなるという報告はあるので、注意が必要です。

脳動脈瘤の原因は、遺伝以外にも生活習慣などの環境要因が大きく関係しています。喫煙や高血圧、飲酒習慣の有無などが、脳動脈瘤を引き起こす可能性もあるため、気を付けましょう。

未破裂脳動脈瘤の破裂リスクはどのくらい?

未破裂脳動脈瘤があると診断されて、一番気になるのが「未破裂脳動脈瘤はどのくらいの確率で破裂するのか」ということでしょう。
『脳ドックのガイドライン2014』によれば、未破裂動脈瘤の年間破裂率はサイズによって以下の数値となります。

  • 3~4mmの場合:0.36%
  • 5~6mmの場合:1.69%
  • 10~24mmの場合:4.37%
  • 25mm以上の場合:33.4%

このように、動脈瘤のサイズによっても破裂リスクは大きく異なります。全体でみると、年間破裂率は0.95%と報告されていますが、その数字に頼らず、ご自身の未破裂脳動脈瘤のサイズや年齢、喫煙歴などを参考に、破裂リスクを考えたほうがいいでしょう。心配な場合は、医師に破裂リスクについて一度質問してみましょう。また、不安が残るようであればセカンドオピニオンという形で、他の病院で相談してみるのもオススメです。

未破裂脳動脈瘤が破裂したらどうなるの?

未破裂脳動脈瘤が破裂した場合、どの部分に動脈瘤があったかにもよりますが、くも膜下出血などのリスクも当然考えられます。未破裂脳動脈瘤が破裂した場合の死亡率は35%。一命を取り留めたものの、自立不可能な状況など後遺症が残った例は約3割という報告もあります。この結果は、くも膜下出血の予後と近い割合です。

出典:一般社団法人日本脳ドック協会『脳ドックのガイドライン2014』[pdf] http://jbds.jp/doc/guideline2014.pdf

未破裂脳動脈瘤と診断されたら

未破裂脳動脈瘤の治療

未破裂動脈瘤の治療は、手術もしくは経過観察のいずれかが行われることになります。治療方針の検討は、動脈瘤の大きさや年齢などを参考に決められます。
日本脳ドック学会が定めるガイドラインでは、次のような条件を満たした場合、手術が推奨されるとしています。

  • 脳動脈瘤が5ミリより大きいこと
  • 年齢が70歳以下であること
  • 身体などの条件が手術を妨げないこと

などの条件を満たした場合、手術を勧めることとなっています。

もちろん、これらは基本的な条件ですので、患者さん個々の体の状態や未破裂脳動脈瘤の状態によって勘案されることとなります。例えば、未破裂脳動脈瘤が発生している部位、その形状から「破裂しやすいかどうか」を医師が判断します。
外科的な治療(手術)を勧められるのは、やはり「脳動脈瘤のサイズが大きいこと」「若いこと」が最低条件となるでしょう。

出典:一般社団法人日本脳ドック協会『脳ドックのガイドライン2014』[pdf] http://jbds.jp/doc/guideline2014.pdf

未破裂脳動脈瘤の処置方法

未破裂脳動脈瘤の処置方法にはどんなものがある?それぞれの特徴は?

未破裂脳動脈瘤は、その状態によって外科的措置が必要となることがあります。上記に示したように、サイズが大きいこと、年齢が若く全身状態も良いことという条件を満たせば、「手術をしましょう」と勧められるはずです。
では、実際にどのような外科的措置がとられるのでしょうか。具体的にどんな手術が行われるのかを見ていきましょう。

未破裂脳動脈瘤における外科的措置は大きく分けて3種類! 主流は2種!

未破裂脳動脈瘤が発見され、外科的な措置が必要と診断されたときに行われる方法は、以下の2種が主流です。

クリッピング術

脳動脈瘤の形状が明確に「コブ」で、他の血管を巻き込んでいない状態のときには「クリッピング術」が採用されます。コブの根の部分(ネックと呼ぶ)へ金属のクリップを施し、コブ部分に血液が行かないようにする方法です。一度クリップを施すと、ほぼ一生涯破裂を予防できる方法として知られています。

コイル塞栓術

脳の深い部分にある未破裂脳動脈瘤、また全身麻酔に耐えられないと判断される場合は、コイル塞栓術が採用されることがあります。これは、太ももの動脈からカテーテルを挿入し、頚部動脈を経由、脳の未破裂動脈瘤内に送り込み、そこでプラチナ製の細い糸をコイル状にして詰めてしまう方法です。
体へのダメージは少なく済みますが、ときとしてコイルが縮み、治療効果が低くなってしまうことがあります。

経過観察と言われたら

患者の状態によって経過観察といわれることも

脳動脈瘤が小さかったり患者が高齢だったりと、脳動脈瘤の大きさや場所、年齢、健康状態によっては「経過観察」という処置が取られることも。脳動脈瘤を小さくする薬については現在研究が進められているところですが、未破裂脳動脈瘤の治療においては、高血圧治療などにより破裂リスクを低下させることも推奨されています。また、定期的な脳ドックと血圧管理、生活習慣の見直しなどを医師と共に行います。

生活をするうえで気を付けることとは?

具体的に、未破裂脳動脈瘤が発見された場合、どのようなことを、生活上気をつければいいのでしょうか?

何よりも未破裂脳動脈瘤のある方に心がけていただきたいのが、禁煙です。血圧が高い方は、血圧治療薬などで適切な血圧となるようコントロールすることが大切です。

また、脳動脈中は急激な血圧の変化などで破裂することもありますので、冬場に自宅で入浴する際などには、脱衣室と浴室の温度差をなくすなど、気温の変化に十分気をつけましょう。

さらに、日頃の生活を見直し、高血圧や動脈硬化を防止することも大事なことです。塩分を控える、運動をする、リラックスする、良い睡眠を取るなどして高血圧にならないようにすることは、日常生活の中でも心がけることのできるもの。また、体内で発生した活性酸素により悪玉コレステロールが酸化し、より悪質になることで動脈硬化が重症化することがわかっています。

そのため、活性酸素を除去してくれる、抗酸化成分を摂取し、加齢によりどうしても進行してしまう動脈硬化をこれ以上進めない対策もしていきましょう。

出典:一般社団法人日本脳ドック協会『脳ドックのガイドライン2014』[pdf] http://jbds.jp/doc/guideline2014.pdf

出典:日本脳卒中学会『脳卒中治療ガイドライン2009 未破裂動脈瘤の治療』[pdf] http://www.jsts.gr.jp/guideline/235_240.pdf