検査・診断

病院で「くも膜下出血」と診断されるまで

突然の頭痛や吐き気で発症することの多いくも膜下出血。受診または搬送された際に、くも膜下出血かどうかを判断するためにどのような検査が行われるのでしょうか?一般的な検査と言われる頭部CTやMRIから、より出血箇所を詳細に特定できる検査まで、くも膜下出血に関わる検査や診断方法をまとめています。

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くも膜下出血の診断のために行う代表的な検査

くも膜下出血の検査には、いくつかの段階があります。

脳の出血かどうかを調べる検査

頭部CT検査や腰椎穿刺などの方法がこれに当たります。

脳のどこにどの程度出血しているかを調べる検査

頭部CT検査でもどのあたりに出血しているかある程度診断することもできますが、より詳細に「どの血管が」という点まで調べられるのが脳血管造影検査です。

医師は始め、意識レベルや全身状態から重要度を診断しながらも、上記のような検査でくも膜下出血を詳しく調べていきます。

CT検査

急を要するくも膜下出血に最適なCT検査

頭部CT検査は、X線によって頭の内部を360度の角度から撮影し、それをコンピューター処理することで頭蓋骨や脳の様子を5mm~1cm感覚で輪切りにした画像を確認する検査です。

脳内に出血があると白く映し出されるため出血の箇所や範囲を特定することができます。

単純検査・造影検査両方を受けても、かかる時間は5~20分程度で痛みもなく、急を要する際の検査でも素早い判断が期待できます。デメリットとしてはX線による被ばくがあること、脳動脈瘤の位置までは特定できないことです。

MRI検査

脳動脈瘤を特定できるMRI検査

MRIとは、磁気共鳴画像診断装置(Magnetic Resonance Imaging)の略で、磁場と電波によって人体に多く含まれている水素原子核を動かし、画像を作ります。骨だけを映し出すX線検査に対して、MRI検査では腱や筋肉の状態まで画像として見ることができます。そのため、初期の脳梗塞や脳動脈瘤の発見や位置の特定に役立ちます。

検査の時間が20分~1時間程度かかることから、脳出血などの急を要する場合には向いていませんが、近年では脳腫瘍などの手術中にMRIを行い、全ての腫瘍を取り除けたかどうか確認するのにも使用されているようです。

MRA検査

脳の血管の状態を立体的に見ることができるMRA検査

MRIの原理を利用して頭の内部をより詳しく撮影し、それぞれの血管の状態まで立体的に映像化して診断する検査です。脳動脈瘤の位置や大きさまで詳しく見ることができます。

検査の方法はMRIと同じで、頭部のみを筒状の機械の中に入れ、強い磁気を当てて撮影します。検査中はゴンゴンと工事中のような音が聞こえますが、時間は10~20分程度で痛みもありません。またX線検査と違って被ばくの心配もない点もメリットです。

軽度のくも膜下出血(脳動脈瘤が大きくなっている、または少量の出血)の際にはこのMRA検査で振り分け診断を行い、必要があれば血管造影検査も行われます。

血管造影検査

「どの血管に異常があるのか」まで詳細に診断できる血管造影検査

頭部CT検査やMRI・MRA検査で脳疾患が指摘された場合、より詳細な出血箇所や動脈瘤の位置、大きさなどを特定するために行われるのが血管造影検査です。血管造影検査には以下の2種類の検査があります。

頭部血管造影

頭部の血管にX線を通さない造影剤を注入してX線撮影を行い、動脈や静脈はもちろん、毛細血管にどのような異常があるかを見る検査です。動脈にカテーテルを注入して頭部の血管に造影剤を注入し、その状態でX線撮影を行います。局所麻酔を行うので痛みはありませんが、カテーテルを抜いた後止血するまで安静にしておくことが必要です。最も確実な診断が期待できます。

3D-CTA(三次元脳血管造影)

腕の静脈から造影剤を点滴してCT撮影を行い、CTの画像処理技術によって脳の血管を3次元で描き出します。脳内の血管の状態をはっきりと見ることができるほか、正面からだけではなく360°様々な方向から血管の状態を診断できます。X線被ばくはあるものの、カテーテルによる造影検査に比べて、検査中に動脈瘤が破裂してしまうといったリスクは大幅に低く安全に検査を受けられます。ただし、3mm以下の小さな動脈瘤は見つけられない場合もあります。

髄液検査

「脳内に出血があるか」を確定診断するために必要な髄液検査

くも膜下出血やその他の脳疾患が疑われる際、まず行われるのは頭部CT検査です。この検査で脳内の出血や詰まりがあるかなどを見ます。ただし、出血から日にちが経っていたり、出血がごく少量だったりすると、頭部CT検査だけでははっきりと診断できない場合があります。そのような場合に行われるのが腰椎穿刺による髄液検査です。背中に注射針を刺して脊髄液を抜き取り、その状態を調べます。脊髄液は脊髄とその外側のくも膜の間に流れているため、くも膜下に出血があれば脊髄液にも血液が混ざります。この検査を行うことでくも膜下出血が見逃されることはほぼないと言われています。