治療方法

再出血を防ぐことがもっとも重要な治療

くも膜下出血を発症してしまった場合、必要とされる治療は以下の3つを目的としています。

  • 呼吸や体内の血液循環を元にもどす
  • 脳内(くも膜下)に広がってしまった血液を外へ排出させる
  • 脳の圧を下げる

しかしその前に最も大切なのが「再出血」を防ぐこと。そのために必要とされるのが「開頭手術」や「血管内治療」です。ここではそれぞれの治療の特徴や注意点などをまとめています。

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くも膜下出血の再発を防ぐ治療

くも膜下出血発症後、最も気をつけなければならないのが「再出血」「再破裂」の予防です。1度目の出血から24時間以内に2度目の出血が起こる可能性が高く、2度目の出血が起こると事態はより深刻なものになります。そのため発症後、状態が安定次第(72時間以内)に、再破裂を予防するための治療として「開頭手術」「血管内治療」のどちらかが行われます。※患者さんの容体によっては行われない場合もあります。

開頭手術

再発の可能性は低いが全身麻酔を伴うクリッピング術

脳動脈瘤の「術中破裂の危険性」が高く、患者の体力にも余裕がある場合は、「クリッピング術」が行われることが多いようです。全身麻酔による開頭手術を行い、脳動脈瘤の根元に直接金属製(チタン製)のクリップを挟み込みます。こうすることで動脈瘤に血流が行かなくなり、少しずつ小さくなって壊死する効果が期待できます。この方法ですと再発の可能性も低く、術中に破裂しても速やかに対応できるため、再出血を予防する方法として最適とされています。ただし、脳の深い部分に動脈瘤がある場合は難しい手術になりますし、患者さんが高齢などで体力がない場合は負担がかかりすぎるという注意点もあります。

血管内治療

高齢者や重症の場合に選択されるコイル塞栓術

出血の度合いが高く全身状態が安定しない、また体力のない高齢者が患者さんの場合などは、カテーテル治療による「コイル塞栓術」が行われます。脚の付け根の血管(大腿動脈)からカテーテル(極細の管)を入れ、頭部の方まで伸ばして動脈瘤まで到達させ、動脈瘤にプラチナ製のコイルを詰め込む方法となります。この方法のメリットはなんといっても体への負担が少ないこと。また、開頭手術では難しい脳の深部の動脈瘤にも対応することができます。ただし、術中の再破裂に対応できない点や、いったん縮小した動脈瘤が再発する可能性もあるという危険性もあります。

クリッピング術・コイル塞栓術それぞれにメリット・デメリットがあり、患者さんの状態や動脈瘤の状態に合わせた方法が取られます。

合併症・血管攣縮を防ぐ治療

再出血を止めてからが本当のくも膜下出血治療

クリッピング術・コイル塞栓術で脳動脈瘤の再破裂を食い止めたからと言って、それで安心というわけではありません。くも膜下出血が起こると、脳内が様々な異常な状態にさらされてしまいますので、いくつかの合併症などの危険性があり、2週間以内は注意が必要です。特に注意すべき合併症の一つが「血管攣縮」で、脳の本体が血液に触れることで血管が縮んでしまい、血液の流れが悪くなる状態を指します。手足のまひや言語障害が残ったり、脳梗塞を起こす危険もあります。くも膜下出血の患者の30~70%に見られる症状で回復期に起こりやすいとされています。そのため、血管攣縮がある場合はなるべく早く、攣縮を抑える薬を投与するなどの治療が必要となります。

合併症・水頭症の治療

1ヶ月後~数ヶ月後に現れることもある水頭症

くも膜下出血を発症してから1~2ヶ月後に、以下のような症状が現れることがあります。

  • 歩行がおぼつかない(ふらふらしたり擦り足になる)
  • 認知症のような症状が出る
  • 尿失禁

これは、くも膜下出血によって脳脊髄液の流れが悪くなり、脳室内に髄液が貯まってしまう「正常圧水頭症」という合併症の可能性があります。この場合の治療方法はシャント手術と呼ばれるものが一般的で、体内にチューブを埋め込み、脳のすき間に貯まっている髄液をお腹に導く治療法によって回復が期待できます。ただしいったん水頭症になってしまうと後遺症が残る場合もあり、その場合はしばらくリハビリや通院が必要となります。