脳動静脈奇形からの出血・外傷

脈瘤破裂以外のくも膜下出血

くも膜下出血が起こる直接原因は、脳動脈瘤の破裂だけではありません。外傷が原因でも起こりますし、まれに先天的に脳動静脈に奇形をもっているケースもあります。ここでは、外傷性や脳動静脈の奇形によるくも膜下出血について解説します。

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脳動静脈奇形とは?

くも膜下出血の原因の多くは脳動脈瘤の破裂です。それほど多くはありませんが脈瘤破裂以外でくも膜下出血になるケースもあります。ここでは脳動静脈奇形による出血と外因性くも膜下出血についてまとめています。特徴や原因、症状についてみていきましょう。

奇形とはどんな状態なのか

動脈と静脈が分離せずに一つにつながっている脳動静脈奇形

脳動静脈奇形とは、脳動脈と静脈が一塊になった奇形により起きる動脈瘤です。動脈に入り込んだ血液を静脈に送るときに、血管に強い圧力が加わります。そのため弱い部分の血管が切れて出血が起きます。

脳の内部・脳の表面・硬膜等、脳内の色々な場所で起きます。出血する部位によりくも膜下出血や脳内出血の症状が現れます。

どうして奇形になるのか

脳の血管の形成時に分離異常が生じて脳動静脈奇形になる

胎児が成長する過程で異常が生じて奇形になると考えられています。受精後3週間目頃から胎児の脳血管が分裂して形作られます。本来は動脈・毛細血管・静脈とわかれますが、何らかの異常が生じて毛細血管が作られずに動脈と静脈が直接つながって脳動静脈奇形になります。なぜ異常が生じるのかは未だはっきりしていません。

自覚症状はあるのか

自覚症状はほとんどなし。くも膜下出血になると激しい頭痛が

大半は自覚症状がなく、痙攣やてんかんが起きて初めて気づくようです。脳内出血を起こすと頭痛・吐き気・嘔吐などの自覚症状や、片麻痺や言語・視野・感覚障害などが起こります。

くも膜下出血を発症すると、突然の激しい頭痛、吐き気・嘔吐や、意識が障害、てんかんが起きると、片側の上肢・下肢のけいれん等があります。

どうして出血するのか

血管壁が弱いのに静脈に強い圧力がかかって出血する

先天的に毛細血管がないため、動脈から静脈に血液が流れる時に、血管に強い圧力が加わって出血します。

正常な場合は動脈の血液が毛細血管によって細かく分散されますが、脳動静脈奇形は、強い圧力のまま静脈に血液が流れてしまい、血管に負担がかかります。また正常な血管に比べて血管壁が弱くて破れやすいことも一因です。

どんな人に多いのか

脳動静脈奇形の発症者は20歳代~40歳代で男性が多い

1年間に脳動静脈奇形で血管が破裂する割合は10万人に1人です。この数字は脳動脈瘤破裂の10分の1に相当し、比較的は少ない傾向といえます。

もっとも多い発症年齢は20歳から40歳代です。これを脳動脈瘤破裂と比較してみると、発症年齢が20歳近くも若く、特に男性は2倍近い特徴があります。

見つかったらどうすればよいのか

外科的治療や放射線治療で異常血管からの出血を抑える

脳動静脈奇形が見つかったら、外科的治療で脳動脈や脳静脈からの出血を防ぎます。

スタンダードな治療としては、異常血管を取り除く「開頭摘出手術」や異常血管を閉じる「血管内治療による塞栓術」が行われます。病変が小さくて通常の手術が難しい場合は、ガンマナイフ(放射線治療)で異常血管を閉塞します。

外傷による脳内出血

外傷によりくも膜下出血が起こる
メカニズム

外傷で激しく脳を損傷しておきる外因性くも幕下出血

交通事故や転倒などが原因でおきるくも膜下出血を「外因性くも膜下出血」といいます。

何らかの原因で頭部を強打したり激しくぶつけると、それが原因で脳挫傷を起こして血管が破れて出血します。その出血がくも膜下まで広がると外因性くも膜下出血になります。

びまん性軸索損傷とは

衝撃を受けた直後から意識障害に。出血量は少なくても危険度大。

びまん性軸索損傷とは、頭部に強い衝撃を受けた直後から意識障害が始まり、それが6時間以上も続く状態です。

頭をぶつけた時に回転性の強い衝撃が脳に加わり、神経細胞の一部を損傷して機能不全に陥るために起きます。出血量が少なくても脳幹や脳の中枢がダメージを受けると、呼吸困難や死に至る場合もあります。

脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血との区別

外科的手術が必要な脳動脈瘤破裂と必要のいらないくも膜下出血

脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血は、手術をして出血している血管をクリップで止めて出血を抑えます。

外因性くも膜下出血は、外部からの力で脳表面の小さな血管が損傷したために起きる出血です。時間経過とともに出血した血液が自然に吸収されるので、経過を見ながら吸収されるのを待ちます。

頭を強く打ってしまったときは…

頭部に強い衝撃を受けたらすぐに病院で検査を!

事故にあったり転倒して頭を強打した時は、脳にダメージを受けている可能性があります。その数日後に症状が現れたり後遺症が残る場合もあるので、すぐに病院に行って検査を受けてください。

事故や怪我が原因なので防ぐ手立てはありませんが、安全面の確認と無理のない行動をすることが、一番の予防策といえるでしょう。