くも膜下出血の原因「脳動脈瘤の破裂」

誰もが持っている動脈瘤ができる可能性

くも膜下出血がおきる原因はいくつあり、その8割が脳動脈瘤の破裂です。特別な病気ではなく誰でもなりうる病気で、日本成人の2~8%に動脈瘤ができるともいわれます。小さいうちは自覚症状がありませんが、破裂すると大事に至ります。脳動脈瘤のメカニズムから検査法まで、脳動脈瘤について詳しくみていきましょう。

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脳動脈瘤とは何か

破裂すると大事に至る脳動脈にできたコブの正体は血液の塊

くも膜下出血の原因の多くは「動脈瘤の破裂」です。脳内を走っている動脈を脳動脈といい、その内壁(血管壁)が動脈硬化などで薄くなったりもろくなると、そこが膨らんで血液が入り込んでコブ(=瘤)ができます。

その状態が脳動脈瘤です。瘤が大きくなると周辺の神経や脳組織を圧迫したり破裂して出血する危険があります。タイプは3種類あり、発生しやすい場所は頭蓋底部ですが、小さなコブであれば出血等の心配はありません。

脳動脈瘤にはどんな種類があるのか

一口に脳動脈瘤と言っても、複数のタイプがあり、各々特徴があります。代表的なタイプが「嚢状動脈瘤(イチゴ状動脈瘤)・側壁動脈瘤・紡錘状動脈瘤」の3つです。それぞれの特徴についてみていきましょう。

嚢状動脈瘤(イチゴ状動脈瘤)

脳動脈瘤で最も多い小さな粒が血管にぶら下がった嚢状動脈瘤

嚢状動脈瘤(イチゴ状動脈瘤)は脳動脈瘤の中でももっとも多いタイプです。1~30㎜程度の血液が溜まっている袋(瘤)が血管にぶら下がっている状態の脳動脈瘤です。

植物がつるにぶら下がってみえることからイチゴ状動脈瘤ともいいます。大きな血管が通っている場所にできやすく、脳血管の前方と後方に多くみられます。

側壁動脈瘤

側壁動脈瘤は血管の一部の壁が大きく膨らんでできる動脈瘤です。

紡錘状動脈瘤

紡錘状動脈瘤の一つ解離性動脈瘤はくも膜下出血につながり危険

紡錘状動脈瘤には2つのタイプがあります。一つは血管壁に血液がたまってできる「非解離性動脈瘤」。もう一つが血管の壁が裂けてできる「解離性動脈瘤」です。

非解離性は破裂の恐れはそれほどありませんが、解離性の場合は解離した直後に脳梗塞やくも膜下出血を起こす可能性があり非常に危険な脳動脈瘤です。

自覚症状はある?

自覚症状はほとんどなく破裂すると激しい痛みに襲われる

脳動脈瘤は初期段階や小さなものは、ほとんど症状がありません。瘤が大きくなると神経を圧迫して様々な症状が現れます。主な症状としては目の上・奥の痛み、顔面麻痺や知覚低下、瞳孔散大、視野異常などです。

破裂して出血すると、突然激しいめまいや頭痛に襲われたり、吐き気・嘔吐、複視、光に対して過敏になる、項部の硬直、全身けいれん、意識障害などが起きます。まれに破裂の数日~数週間前に頭痛が起きることもあるようです。

どうして動脈瘤ができるのか

先天性な奇形や不規則な生活をしていると動脈瘤になりやすい!?

動脈瘤は年齢や性別に関係なく誰でも発症する可能性がある病気です。その多くは先天性のもので、多発性嚢胞腎、脳動静脈奇形のような、生まれつき脳動脈の血管壁に異常が引き金となって発症します。

先天的な原因のほか喫煙やアルコール依存症、動脈硬化、高血圧、生活習慣病等も原因の一つに挙げられています。また脳内であればどこにでもでき、多くの場合、脳の下方にあたる頭蓋底部の血管に沿ってみられます。

脳動脈瘤を発見する検査

動脈瘤は初期段階では自覚症状がなく、くも膜下出血を発症した時の検査で初めてわかるケースがほとんどです。脳動脈瘤を発見する代表的な4つの検査「血管造影・CT・MRI・脳脊髄液検査」をみていきましょう。

血管造影

血管造影で脳動脈内の異常や病変をリアルに把握する

血管造影剤を血液の中に入れて、血管内の状態を調べる検査です。通常のレントゲン撮影では血管内の様子を把握することができませんが、血管造影剤を使うことで異常個所が浮き出た像になって病変を確認できます。

局所麻酔をして動脈内にカテーテルを挿入して脳動脈まで送ります。その管に造影剤を入れると血液の中に流れて脳動脈に届いて、血管内の狭窄・閉塞を検出したり、もろくなっている部分が特定できます。

コンピューター断層撮影(CT)

CT診断で脳動脈瘤や脳内に漏れている血液を正確に把握する

コンピューター断層撮影は、レントゲン撮影した後にコンピューターで解析して二次元画像を作るシステムで、くも膜下出血の疑いがあるときは真っ先にCT診断を行います。

頭部にエックス線を照射して、コンピューターで解析した脳や頭部の横断面の画像を見て診断します。CT診断を行うことで、脳動脈瘤や脳内に漏れている血液の有無が診断できます。状態にもよりますが、血管造影剤を使って撮影することで、より正確な診断ができます。

核磁気共鳴画像装置(MRI)

MRIでまだ破裂していない動脈瘤まで鮮明に把握する

核磁気共鳴画像装置(MRI)は、コンピューターが作り出した電磁波を強力な磁場を使い、体内の水分に反応して断層写真を撮影するシステムです。

CTは二次元画像ですがMRIになると三次元画像が作れるので、出血の状態はもちろんですが、まだ破裂していない動脈瘤の有無や、動脈瘤の大きさや形状などが詳細にわかり、精度の高い診断ができます。またコンピューター解析により、三次元画像・二次元画像を任意に作ることができます。

脳脊髄液検査

くも膜下出の疑いがある時は脳脊髄液検査で出血の有無を見る

脳脊髄液検査は脳脊髄液を採取して脳内出血の有無を調べる外科的検査で、くも膜下出血の診断の重要な検査の一つ。動脈瘤が破裂して出血すると脳脊髄液に異常が現れます。

くも膜下出血の疑いがあるときは、外科的な針を入れて脳脊髄液を採取して、異常の有無を調べます。血液や脳内出血があるとくも膜下出血と診断されます。

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破裂のメカニズム

脳動脈が破裂するとくも膜下腔に血液が広がってくも膜下出血になる

くも膜下出血とは、脳脊髄液の中に血液が入り込んだ状態です。脳や髄液は髄膜と呼ばれる3つの膜に守られています。まず脳をぴったり覆うように軟膜があり、その上にくも膜、さらに硬膜と重なっています。

くも膜と軟膜の間にはくも膜下腔があり、脳髄液が流れていて脳が浮かんでいる状態になっています。くも膜と軟膜の間の脳動脈が破裂すると、くも膜下腔に出血が広がっていってくも膜下出血になります。