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治療費はいくらぐらい?

高額な医療費を助ける制度の利用も可能です

くも膜下出血の治療には、保険診療とは言えある程度の費用がかかります。検査や手術にかかる一般的な費用はどのくらいなのか?実例を踏まえて解説しています。

くも膜下出血の検査や治療(手術)にかかる費用とは

くも膜下出血の疑いがある場合、もしくは既に発症している場合は精密検査を経て手術・入院となる流れがほとんどです。検査、手術、入院、それぞれに費用が発生します。後遺症がある場合はリハビリにも別途費用がかかります。ここでは検査や手術・治療にどのくらいの費用がかかるのか調べてみました。

検査にかかる費用

・頭部CT検査…約3万円(保険診療3割負担の場合で約1万円)

頭部CT検査(CTスキャン)はX線によって頭の内部を撮影する検査です。

画像をコンピューター処理することで、頭の内部を5mm~1cm間隔で輪切りにした画像を見ることができ、脳内の出血の有無やだいたいの場所を見つけることができます。検査毛結果が出るまでの時間が短いため、急を要する状態の場合にも検査することができますが、X線による放射線被ばくがあるため、いつでも気軽に行えるものではないという側面もあります。

・MRI検査

単純MRI検査:約26,000円(保険診療3割負担の場合で約7,800円)

造影MRI検査:約35,000円(保険診療3割負担の場合で約10,500円)

MRIとは、磁気共鳴画像診断装置(Magnetic Resonance Imaging)の略で、磁場と電波の力を利用して、体内の状態を画像として映し出します。MRI検査では骨だけでなく腱や筋肉の状態まで目で確認することができ、初期の脳梗塞や脳動脈瘤があるかないかを判断する際に使用されます。また、より詳しい検査のために少量の造影剤を使用して検査する場合もあります。検査を受けることで体に害が及ぶことはありませんが、検査結果が出るまでに時間がかかること、検査中にゴンゴンと大きい音がすることなどがデメリットとして挙げられます。

・MRA…約25,000円(保険診療3割負担の場合で約7,500円)

MRIの原理を利用して頭の内部をより詳しく撮影する検査がMRA検査です。それぞれの血管の状態まで立体的に映像化してみることができ、脳動脈瘤の位置や大きさまで詳しく診断することができます。軽度のくも膜下出血を発見する際などにも使用されます。MRI検査と同じく被ばくなどは心配ありませんが、強い磁気の影響を受けるため、妊娠中の人は注意が必要です。

手術にかかる費用

くも膜下出血を発症した場合、まず初めに必要となるのが「再出血」の予防策です。

これには、開頭手術であるクリッピング術と、カテーテル治療のコイル塞栓術の2通りがあります。患者の体力や脳動脈瘤の位置、術中に再破裂する可能性などによってどちらの方法が良いかは異なります。

・脳動脈瘤クリッピング術/約250~300万円(保険診療3割負担の場合で、75万円~100万円)

全身麻酔による開頭手術を行い、脳動脈瘤の根元に直接金属製(チタン製)のクリップを挟み込む手術です。再発する可能性が低く、小さな動脈瘤にも対応できますが、脳の深い部分の動脈瘤には難易度が高くなるようです。根治が期待できる治療法ですが、患者の体力が大きく消耗される手術となりますので、患者さんの全身状態を良く見て行うことが必要です。

・血管内コイル塞栓術/約150~180万円(保険診療3割負担の場合で50万円~60万円)

足の太い血管からカテーテル(極細の管)を入れ、頭部の動脈瘤まで伸ばして、カテーテルの先からプラチナ製のコイルを詰めることで、動脈瘤へ血液が行かないようにする治療方法です。局所麻酔でも行うことができ、体への負担が少なく行うことができます。ただし、動脈瘤の形や大きさによっては適さない場合や、再発してしまう可能性もあります。

高額な医療費を助ける制度

くも膜下出血になった場合、検査料や手術料だけでなく、入院費もかかります。健康保険が適用になる場合は3割負担ではありますが、それでも支払額が極端に抑えられるわけではありません。ここで役立つ「高額療養費制度」についてご存知でしょうか。1か月に負担する医療費が限度額を超えた場合、その差額を国が負担してくれる制度です。限度額は年収や収入によって異なり、これを超えた分については払い戻されます。

ただ、この他に高額療養費が支払われるまでの間にお金が用意できない方も多いでしょう。この場合は「高額医療費貸付制度」という、支払いに充てる費用を無利子で貸し付けしてくれる制度が用意されています。それぞれについてご紹介しましょう。

高額療養費制度

1ヶ月の支払いが限度額を超えた場合に、差額が戻ってくる制度

月初めから終わりまでの1か月で医療機関や薬局の窓口で支払った額が上限額を超えた場合、その分の金額を還付してもらえます。利用する場合は加入している健康保険に申請しましょう。

上限額は年齢と所得によって異なります。 実際にどれくらいの支払額になるのか、一例についてご紹介しましょう。仮に手術・入院などで100万円の医療費が発生した場合、保険3割負担で窓口負担額は約33万円です。続いて高額療養費制度を計算してみましょう。

例えば69歳以下で年収が約370~約770万円だった場合、ひと月の上限額は「80,100円+(医療費(この場合は33万円)-267,000)×1%」となり、約9万円となります。 3割負担で支払う33万円から上限額となる9万円を引いた差額である14万円が申請によって還付されるということ。
ちなみに、69歳以下の場合、年収ごとの1か月の上限額は次の通りとなっています。

  • 年収約1,160万円~は252,600円+(医療費-842,000)×1%
  • 年収約770~約1,160万円は167,400円+(医療費-558,000)×1%
  • 年収約370~約770万円は80,100円+(医療費-267,000)×1%
  • ~年収約370万円は57,600円
  • 住民税非課税者は35,400円

70歳以上の場合は計算が異なるので、病院の窓口で確認してみましょう。 また、入院の際にあらかじめ手続きをしておくともらえる限度額適用の認定証を入院先の病院に提出すると、病院側が健康保険に限度額を超える分を直接請求してくれます。窓口での支払いは限度額分で済むので一時的に現金を用意できない方も忘れずに申請しましょう。

注意点として、食事負担や、個室を選択した場合の差額ベッド代などは含まれません。「高額療養費制度で戻ってくるし、ベッド代は高くても広い部屋に変更してもらおう」と考えるのは間違いになります。

参照元:厚生労働省HP「高額療養費制度を利用される皆さまへ」[pdf]

高額医療費貸付制度

限度額を超えた金額が用意できない方のためのサポート

あとから還付されるといっても、高額療養費制度で還付金を受け取れるようになるまでには3か月ほどの時間がかかります。これは、医療機関から提出される診療報酬明細書の審査がすすんでから還付という流れになるためです。

そのため一時的に医療費の3割分を窓口で支払う必要があります。ただ、治療費が大きいと3割といっても準備するのが難しいケースもあるでしょう。そういった場合、「高額医療費貸付制度」を利用すれば高額療養費制度の還付金が受け取れるまでの間に、給付見込金額の8割相当額を無利子で貸し出してもらえます。

必要な書類を医療機関から受け取り、各健康保険の窓口から申請しましょう。高額医療費貸付制度で借りていたお金の返済は、高額療養費の給付金をあてることになります。残額については指定の金融機関に振り込みしてもらえるので安心ですね。

くも膜下出血の治療では高額の医療費がかかりますが、これらの制度を活用することにより支払額が抑えられるので、チェックしておいてください。くも膜下出血は再発のリスクも高い病気なので、一度完治しても油断せず、予防に努めることが大切です。

参照元:全国健康保険協会HP『高額医療費貸付制度』