ストレス

ストレス

ストレスの蓄積が恐ろしい病気を招く

くも膜下出血(脳動脈瘤の破裂)の発症・再発リスクを高める要因の一つにストレスがあります。特に女性はストレスの影響を受けやすく、くも膜下出血とどのような関係があるのか詳しくみていきましょう。

ストレスとくも膜下出血の関係

特に女性が影響を受けやすいストレスとくも膜下出血

12万人の日本人を対象に、生活習慣と健康への影響を調べた大規模コホート研究(JACC Study)では、ストレスがくも膜下出血の発症や死亡と深く関係があることが証明されています。 2002年に科学誌『Circulation』に発表された同研究は、1988年から1990年にかけて行われたアンケート調査と約10年の追跡調査によりストレスの強さと脳卒中や心筋梗塞による死亡者の割合を調べたもの。 アンケートでストレスが多かった人は、女性の場合脳卒中のリスクが2.2倍も高くなっていたそうです。

アンケートで「日常ストレスが多いと思われますか」という質問をお尋ねし、ストレスの強さごとにその後循環器疾患(脳卒中、心筋梗塞)で死亡した人の割合を比べました。 図は自覚的ストレスが少ない人を基準としたときの死亡のおこりやすさの割合を示しています(循環器疾患の死亡はストレス以外のさまざまな要因の影響を受けるので、それらの影響を考慮して計算しました)。ストレスが多い人は少ない人に比べて、脳卒中や心筋梗塞になりやすいことがわかりました。その程度は、女性では、ストレスが多い人では脳卒中が2.2倍、心筋梗塞が2.3倍です。また、女性では自覚的ストレスが多くなるほど脳卒中、心筋梗塞になりやすくなることが示されました。男性ではそれらの傾向は女性ほど強くありませんでしたが、心筋梗塞ではストレスとの関係が示されました。

出典: JACC Study「自覚的ストレスと循環器死亡」

ストレスがなぜ
くも膜下出血のリスクを高めるのか

ストレスで高血圧になりやすくなる。

ストレスは、アドレナリンやノルアドレナリン、エンドルフィンなどの脳内ホルモンを分泌させます。これ自体は注意力や集中力などが高まりいいことなのですが、ストレスがかかった状態が続くと脳内ホルモンが内臓の働きも活発にしてしまいます。その結果、心拍数や血圧を上昇させてしまいます。特にノルアドレナリンは血管を収縮させる作用もあるため、高血圧になりやすいのです。[※1]

また、ストレスは深酒や喫煙、睡眠不足、疲労など様々な影響を及ぼします。ストレスによってお酒を飲みすぎてしまえば、くも膜下出血の発症リスクはさらに増加します。飲酒や喫煙はストレスと同様に、高血圧の原因となるリスク要因です。 ストレスがもたらす体への悪影響は脳卒中以外にも多くの病気で指摘されていますから、ストレスを出来るだけ減らすことがくも膜下出血の予防だけでなく、様々な健康の予防にもつながっているのです。

働き過ぎやストレスなどのために働き亜盛りの中高年が起こす突然死は,くも膜下出血,脳出血,急性心不全,心筋梗塞など心循環系のストレス障害によるものと言える.疲労やストレスは慢性的に脳神経系やホルモン系に撹乱を与え,免疫も低下させ,疾病発症や発がん促進につながる一つの誘発因子になっている

出典: (PDF)「疲労とストレス」バイオメカニズム学会誌,21(2),1997[PDF]

ストレスは大脳皮質に認知され、その情報は視床下部に伝達され、視床下部―脳下垂体―副腎皮質系が賦活される。視床下部は神経伝達物質として CRHを放出し、これにより脳下垂体は前葉よりACTHを分泌する。そしてACTHの刺激により副腎皮質で産出されるコルチゾールが、糖新生、胃酸分泌、リンパ球抑制など、ストレスに対する様々な生体の反応を引き起こす。また、過剰のコルチゾールは、そのミネラルコルチコイド作用により尿中Na排泄を抑制し体液量を増加させるとともに、様々な昇圧物質の血管収縮作用を増強することにより血圧の上昇をもたらし、循環器系の適応反応にも寄与する

出典: (PDF)「循環器疾患とストレス」石光俊彦 - Dokkyo journal of medical sciences, 2006 [PDF]

ストレスによる
くも膜下出血発症事例

くも膜下出血死亡の原因は月52時間を超える残業と過重労働

Hさんは看護婦として勤務していましたが、平成13年2月13日、勤務を終えて帰宅するとくも膜下出血を発症し、その1か月後、まだ25歳の若さで死亡しました。

当時の健康状態に異常はなく、頭痛などによる欠勤もなく、良好な健康状態でした。その後、過去半年間の勤務状況を調査したところ、残業時間が平均月52時間22分の過重労働が続いていたことが発覚。

業務的に高度な医療水準が求められ、シフト勤務や夜勤が重なって充分な睡眠が取れずに疲労が蓄積。精神的・肉体的にも限界に達してくも膜下出血死亡につながったとみられます。

ストレスによる
くも膜下出血の予防方法

くも膜下出血予防のためにはストレスを適度に解消することが大切

くも膜下出血などの脳卒中を予防するためには、血圧コントロールやバランスのとれた食生活、運動習慣などに加えてストレス対策がとても大切です。 特に、仕事におけるストレスは、過労死にもつながりかねない大きなリスクファクターです。 ストレスをため込まないためにできることをいくつかご紹介しましょう。

睡眠

ストレスを解消するために最も大切なことの一つが睡眠です。忙しい毎日の中でも、きちんと質の高い睡眠が確保出来るように、寝る前にはカフェインやタバコを避けましょう。 また、毎日同じ時間に起き、朝太陽の光をしっかりと浴びることで体内時計のリズムが整います。その結果、夜きちんと眠気を感じられるようになります。ストレスでなかなか寝付けない日が続いている方は、ぜひ朝日を浴びる習慣をつけてみましょう。

運動

ストレス解消も出来て、体の健康にもいい影響を及ぼすのが運動です。激しい運動をしなくても構いません。仕事終わりのジョギングでもいいですし、休日に近所の公園をウォーキングするのもいいかもしれません。 ぜひ、生活の中に運動習慣を取り入れ、ストレスをため込まない生活習慣を実践しましょう。

ストレスは人に精神的のみでなく身体的にも影響を与える. 人は慢性的なストレスに晒された場合,安静時でも心拍は活発に活動し,自律神経系のバランスを崩す [2]. ストレスの改善策として,薬物療法,マッサージや温熱療法などの理学療法,カウンセリングなどの 心理療法が挙げられるが,取り組みやすい方法として,音楽鑑賞 [3][4] や運動という自己的療法もある. 特に,運動療法に関しては,エクササイズと呼ばれる体力増強や減量など身体の健康維持(Physical Fitness)のための運動が一般的であり,これはストレス発散という意味では,心の健康においても良い影響を与える.

出典:(PDF)「「Emotional Fitness(心の健康維持)」のためのトレッドミル運動における最適運動強度」日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集,2009[PDF]

アロマ

気持ちをリラックスさせる方法として、古くから活用されているのが「香り」です。アロマテラピーは、香りによって様々な効果があります。とはいえ、どの香りが一番ストレス解消にいいかはひとそれぞれ。お気に入りの香りを見つけてアロマポットを使って部屋で香りを楽しんでみたり、入浴時にアロマオイルや入浴剤を使ってみたりするといいでしょう。

嘆覚器刺激に敏感に反応する脳波を測定し, リラックスの状態を示す α波とストレスの状態を示す β波の分布率を求めるという手法を採用した。被験者 6人に対して,平常時とエッセンシャルオイルによる嘆覚器刺激と脳波の関係を検討するために,エキゾチック系,樹脂系,柑橘系,樹木系,スパイス系,ハーブ系,フローラル系の 7系統に分類されるエッセンシャルオイルの合計128種類を使用し,これらのにおいを嘆いだ状態で脳波の測定を行った。被験者の平常時の α波とβ波の分布率をコントロールとし,においを嘆いだときの α波, β波の分布率と比較することで効果を検討した結果,オイルの種類によって分布率が大きく異なること, β波が減少して α波が増加するという効果がみられるものは個人によって異 なることが明らかになった。以上の結果から,脳波の分布傾向には個人差があること,多数あるエッセンシャルオイル全てに α波増加の効果があるわけではなく,その効果にも個人差があるということがわかった。

出典:(PDF)「ストレス解消に関する研究 : その1. エッセンシャルオイルが脳波に及ぼす影響」三重大学大学院生物資源学研究科紀要36,2010 [PDF]

「酸化」ストレスのリスク

活性酸素による「酸化ストレス」がくも膜下出血を引き起こす

くも膜下出血発生リスクを高めるストレスの一つに、酸化ストレスがあります。仕事や過重労働等でストレスを受けると、体内で活性酸素が大量に発生します。それによって体が酸化してくも膜下出血の発症リスクが高くなるといわれます。

昭和大学医学部では、この相関関係について論文を発表しています。同大学ではくも膜下出血を発症した患者から、尿を2週間採取してストレスマーカーを測定しました。その結果、患者の体内で発生した活性酸素により、DNAと細胞膜に対して酸化ストレス障害を引き起こす可能性があることが示唆されました。(「くも膜下出血患者における尿中新規酸化ストレスマーカーからみた酸化的DNAおよび細胞膜障害の相関性」より)

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「酸化」ストレスを取り除く物質

くも膜下出血対策に有効!大豆発酵エキスの摂取で活性酸素を除去

活性酸素は体内で自然に発生し、免疫機能の一部として働く、身体に必要なものです。その一方で毒性が強く、過剰に発生すると体の細胞を酸化させたり、動脈硬化や糖尿病、くも膜下出血などの様々な病気を引き起こす原因になります。

またストレスや紫外線、大気汚染、喫煙や激しいスポーツなどによっても過剰に発生するといわれ、活性酸素を取り除くことが、くも膜下出血の予防につながります。活性酸素を体内から取り除くには、抗酸化物質を含む成分を摂取する必要があります。

抗酸化成分にはポリフェノールやアスタキサンチンなどがありますが、中でも大豆発酵エキスはあらゆる活性酸素を除去する働きがあり、理想的な抗酸化物質です。

参考文献

[※1]『脳梗塞・脳出血・くも膜下出血が心配な人の本―脳血管の病気の不安解消・予防・早期発見のために」篠原 幸人 (著),2003