くも膜下出血の種類

発症のきっかけによって大きく2つに分けられるくも膜下出血

くも膜下出血は、ある日突然発症し、そのまま亡くなってしまうことも多い病気です。命が助かっても後遺症が残ることも多い恐ろしい病気の一つですが、症状や原因によってどのような種類があるかを解説しています。

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非外傷性くも膜下出血(急性くも膜下出血)

脳卒中の一種であり、重篤な状態を引き起こしやすいとも言われるくも膜下出血。発症にはいくつかの原因が考えられますが、まずは最も症例の多い急性くも膜下出血について症状や原因を見ていきましょう。

症状

非外傷性くも膜下出血(急性くも膜下出血)は、特に頭を打ったり事故に遭ったりということもなく、日常生活の中で急に発症するものを言います。

症状としては突然の激しい頭痛で始まることが最も多く、頭もしくは首の後ろに、「ハンマーやバットで殴られたような」強い痛みがあります。中等症・重症の場合は立っていられないほどの痛みで、そのまま昏倒して意識を失います。

軽症の場合は頭痛と吐き気が数日続きますが、風邪などの体調不良からくる頭痛とは異なる痛みですので、おかしいと思った場合はすぐに病院を受診して下さい。

原因

くも膜下出血を起こす脳動脈瘤破裂のきっかけとは?

人間の脳は3重の膜で包まれています。外側から硬膜・くも膜・軟膜となっており、中心の膜であるくも膜と脳の間にある太い血管が切れ、出血してしまうのがくも膜下出血です。
急性くも膜下出血患者の8~9割が、脳の血管にできたこぶ(脳動脈瘤)が破裂してしまうことで発症します。脳動脈瘤は破裂しないうちはほとんどの場合何の症状もないため、詳細な検査をしないと発見することができません。この脳動脈瘤が大きくなると、約5割の人が眠っている間や日常生活の中で突然破裂を起こしてしまいます。残りの5割の人は、興奮したり激しい運動をした場合に発症。緊張や体に力を入れ過ぎることが引き金になり得るのです。

特徴

非外傷性くも膜下出血(急性くも膜下出血)の特徴まとめ

上記をまとめると、非外傷性くも膜下出血は次のような特徴があると言えます。

  • 突然の強い頭痛で発症する(これまでに経験したことのないような激しい痛み)
  • 40~50代以上の人に多い
  • 原因はくも膜下にできた脳動脈瘤の破裂
  • 睡眠時の発症が10%、日常生活での発症が35%、激しい運動や緊張時での発症が40%程度
  • 発症すると、30%が死亡、30%が後遺症が残るが、残りの30%は回復して社会復帰できる

破裂して出血が進んでしまうと、死亡や高次機能障害(マヒや言語障害など)に直結する恐ろしい病気ですので、いつもと違う激しい頭痛を感じたらすぐに病院へ行くことをお勧めします。

外傷性くも膜下出血

脳動脈瘤の破裂によって起こることが多いとされるくも膜下出血ですが、交通事故や打撲などによって引き起こされることも。次は外傷を原因とするくも膜下出血の特徴や危険性についてみていきましょう。

症状

交通事故で頭を打ったり、高いところから落ちたりなどして頭部を損傷した際に、外傷性くも膜下出血が起こると、激しい頭痛や嘔吐、意識障害などがあります。その他、脳の細胞や中枢がダメージを受けている場合は、半身のまひや言語障害、感覚障害、けいれんなどの症状が現れる場合もあります。これらの症状は、目に見える傷がなくとも、衝撃を受けてしばらく時間が経ってから表れることもありますので、頭を強く打った時はしばらく注意が必要です。

原因

頭部に強い衝撃を受けた際に起こる外傷性くも膜下出血

一般的にくも膜下出血とは脳を包んでいる「くも膜」と脳の間に出血が起こっている状態を指します。非外傷性のくも膜下出血が、脳の血管にできたこぶの破裂によって起こるのに対し、外傷性のくも膜下出血は、交通事故や転倒、高いところからの落下などによって頭部に大きなケガをした際、出血がくも膜下にまで広がることによって起こります。また、びまん性軸策損傷によって少量のくも膜下出血が起こっている場合もありますが、この場合は急死につながる可能性も高く、より重篤な状態であると言えます。

特徴

外傷性くも膜下出血の特徴まとめ

上記をまとめると、外傷性くも膜下出血は次のような特徴があると言えます。

  • 交通事故などで頭部に強い衝撃を受けることで発症する
  • ケガ直後からの激しい頭痛・嘔吐・意識障害など
  • 見た目の外傷はなくとも内部で症状が進行していることもあるため、衝撃を受けてから2~3日は昏睡や頭痛などに注意が必要
  • 脳挫傷や脳座滅、びまん性軸策損傷など、脳の他の部分の損傷を伴っていることが多く、半身まひや言語障害、記憶障害、けいれんなどが起こることも
  • 外傷性くも膜下出血に対しては、ほとんど治療は行われない(出血が体内に自然に吸収されるのを待つ)※脳挫傷等に関しての治療がメインとなる
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外傷性と非外傷性、どちらが重篤

くも膜下出血には、大きく分けて外傷性と非外傷性くも膜下出血(急性くも膜下出血)の2種類があります。

非外傷性くも膜下出血は、日常生活で突然の頭痛から発症することが多く、患者の30~50%に死亡や重い障害が残る危険性もありますが、クリッピングなどの適切な治療を行うことで30%の人が元気に社会復帰できています。

それに対し、外傷性くも膜下出血は、頭部に激しい衝撃を受けたために発症するもので、通常のくも膜下出血のような症状に加えて脳挫傷や脳座滅など、脳の他の部分にも大きなダメージを受けていることがほとんどです。また、損傷した脳を回復させる効果的な治療法もないため、合併症を抑えたり、脳内の血圧を整えたりする治療がメインとなります。事故や外傷の度合いによっては、外傷性くも膜下出血の方が命にかかわる危険性が非常に高くなっています。